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| 「つまりお前は山の上には辿り着いたんだね。で、せっかく見つけたものをそのままにして帰ってきたと」 お師匠様のもとに戻ったあたしは早速、旅の不首尾を報告しなきゃならなかった。ニーザはどっかいっちゃった。「直接見てきたあんたが言うべきさ」って。 もちろん、嘘ごまかしが通じる相手じゃない。あたしは正直ありのままを話したよ。門のこと、聖域のこと。 お師匠様の感情のこもらない視線に、あたしは身をすくませたけど、それでも言ったんだ。 「言いつけに背いた罰は受けます」ってね。 「よくお言いだね。覚悟はできているって訳だ」 お師匠様は表情ひとつ変えない。沈黙がもの凄く怖い。でも仕方ない。それがあたしの選択だったんだから。 それでも、お師匠様が手を振り上げたら、やっぱり思わず目を閉じちゃった。火の玉が飛んでくる? それとも文字通り雷が落ちるかしら? 蜂の群れ? 鉄の塊? それとも……?? 不意に頭に感じた感触はどれでもなかった。柔らかい手触りのそれは…… |
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| 「高……帽子?」 「そういうことさ」お師匠様の声が上から降ってきた。「大きな力にはね、それ相応の心が求められるんだよ。今回のことは、……ま、不肖の弟子にしちゃ上出来ってとこさ」 じゃあ、あの門はもしかして……思わず顔を上げたあたしに、すかさず厳しい声が飛んできた。聞きなれた、でもどこか新しい響きを含んだ声。 「勘違いおしでないよ! こなさなきゃならん試練はまだたあんとあるんだから。これは手付みたいなもんさ」 それだけ言うと、あたしの返事も聞かずに、お師匠様は出てっちゃった。 |
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あたしはしばし呆気に取られてたけど、少しずつ、お師匠様の言葉の意味が頭に入ってくるにつれて、顔に笑みが広がるのを感じたわ。うれしかったなあ。初めてお師匠様に誉められたんじゃなかったかな。 |
| 絵:氏縄
勝之 . 磯 桂子 文:奥田 孝明 PRODUCED BY NAMCO LTD. (C)2003 NAMCO LTD. ALL RIGHTS RESERVED |
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