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| 建物の中は薄暗く、窓という窓は板で塞がれて、外の気配を締め出していた。一歩進むごとに、足元で板のきしむ音が上がる。朝を告げる鐘が遠く聞こえた。 「……随分、古いな。何十年どころじゃないぞ」 「おまけに相当、徹底して荒らされてるわさ。ほとんどなにも残ってないじゃない」 「なにもねえよ。早く帰ろう」 しらみつぶしに回ってみたものの、覗いた部屋の大半は、文字通り空っぽだった。 一部屋だけ目を引くものがあった。ごく普通の小部屋に過ぎなかったが、床の一部がはがされていて、周囲に書類らしきものが散乱していた。 「なんだこれ。……図面?」 |
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「これってもしかして、スクーレの時計塔? なんでこんなものが?」 「他も建物の図面ばかりだ。見覚えのあるのもあるぞ。あいつ、建築家の幽霊だったのか?」 |
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| 「な、なあ、箱があるんだけどよ、空だぜ」 オルガの言う通り、床穴の底に、ふたの外れた小箱が転がっていた。露わになった中は確かに空。 「盗まれたのかな。……あれ? ここ動くぞ」 カチリと音がして、箱の底がずれた。二重底のからくりの奥にせまい空洞がある。 中には一枚の図面。ただし建物ではない。 木の葉をあしらった精緻な意匠。中心に鮮やかな青が描き込まれている。 |
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「首飾りみたいだわね」 |
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「♪剣闘士、忘れちゃならねえ、三つの掟、鉄の兜に鉄の球、一番大事は鋼の笑い……」 |
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時計塔の鐘が次の時を告げる頃、レオはひとり、左右に長大な塀を従えた大きな門の前にいた。その壁色から“青の館”と呼ばれる砦のごとき威圧的な建物。 |