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「なんだあ、おまえらあ!!」 大きな体に相応しい、もの凄い大声が、谷間に響き渡りました。驚いた小鳥が巣から転げ落ち、巣穴ではモグラが頭を天井にぶつけました。 赤毛の巨人は大木をむんずとつかむや、軽々と棍棒のように振りかざして、向かってきました。一歩ごとに地響きと共に地面が波打ちます。怒りに逆立った赤毛はまるで炎のよう。 でも怒っているのは巨人だけじゃありませんでした。ブーブたちも腹を立てていたのです。せっかくはるばるやってきたのに、こんな出迎えでは無理もありません。 このひねくれ者には、ちょいとおしおきが必要だ! 三人は巨人の突進を、ひょいとかわすや、てんでに散って林の間に姿を消しました。 戸惑った巨人は木々の陰をのぞき込みました。 ごちん! 突然、巨人の目の前で火花が散りました。 何かが飛んできて、巨人の鼻先をしたたかに打ったのです。 ひとつ、ふたつ、狙いあやまたず次々と飛んでくるそれは石のつぶてでした。たちまち巨人は悲鳴を上げるはめになりました。 でも、いくら石が痛いからといって、それでやっつけられる巨人なぞいやしません。ますます怒り狂って逆襲に……と思いきや、おやおやなんと! 手にした大木を投げ出して、ぺたんとその場に座り込んでしまったではありませんか。そしてそのまま、さめざめと巨人は泣き出しました。 「やめてくれよう、おら、なんもしねえよう。おどかそうとしただけなんだよう」 これにはブーブたちもびっくりです。顔を見合わせながら、林の中から姿を現します。それでも巨人は泣き止みません。どうやら本当に泣いているようです。 「大きいやつ、変なやつ! なぞなぞやるぞっ!」 ところが巨人はますます激しく泣くばかり。 「なぞなぞはもうたくさん、たくさんだよう!」 三人は首をひねりました。なぞなぞが嫌いだなんて、そんなやつがいるなんて! すると巨人は涙を拭いて身の上話を始めました。 実は巨人は本当は巨人ではないというのです。魔法使いに魔法をかけられて今の姿にされてしまったのだと。 魔法使いは去り際にある言葉を残しました。 巨人の舌には、難しい言葉を話すのは一苦労でしたが、なぜかその言葉だけは、なめらかに口にすることができるのでした。 |
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「まほう使い、言ったよ。なぞなぞ解ければ、のろいも解ける。でも、おら、分からなかった。水の月、見たけど、分からなかった。ようく見たけど、分からなかった。だから、もっと月、大きくしようと水たまり、大きくした。でも、まだ分からねえよう」 そういうと巨人はまた泣き出しました。大粒の涙が音を立てて落ち、涙の数だけ、地面に小さな水たまりが出来ました。 どうやらこれが河をせき止め、池を作っていた理由だったようです。池を大きくすれば、映りこんだ月も大きくなる。まったく巨人らしい思い付きじゃありませんか。 でもブーブたちはそんな巨人の様子などお構いなし。正直、身の上話には退屈していたのですが、最後の魔法使いの言葉、それは三人がなにより好きな、なぞなぞだったんですから! 「五本足のトカゲ!」「コウモリッ!」「ッ!」 すっかり興奮して、でたらめな言い合いで盛り上がる三人のかたわらで、巨人はぽつんと立ったまま、夜空を見上げました。その目に映るのは、白く輝く満月ではなく、離れて光る小さな蒼い星でした。 「おら、あの星見ると、また泣きたくなるだ……」 |
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