でもそれが気に入らないやつらもいたんだ。わたしをいじめてウサ晴らしをしてた連中。わたしが通ると、わざと足を出して引っ掛けようとしたり、物を投げ付けてきたり。以前のわたしは、それこそ小動物みたいに必死に逃げ回ったりしてた。
そういう連中の嫌がらせを、元気になったわたしは、うまくかわせるようになった。ムイムイみたいに、ひょいひょいってね。あいつらはそれが面白くなかったみたい。
ある時、つい調子に乗って、かわしたついでにあかんべえってしちゃったの。そしたら、あいつら、本気で怒り出して、わたしの髪をひっつかんで奥にひきずってった。泣いて謝ったけど、あいつらは許してくれなかった。
人気のない通路で、わたしは何回もひっぱたかれて、倒れこんだ。泣きながら身を丸めて震えてた。
「知ってるか? こいつ、仲間もいないもんだからよ、独り言ばっかりでよ。薄気味悪いったらねえ」
なんのことを言っているのかはすぐ分かった。こいつらには決して分からないんだってことも。痛みも忘れて叫んだ。
「わたし、独りなんかじゃないもん!」
返事は馬鹿にしきったゲラゲラ笑い。悔しかったなあ。あいつらは次はどんな痛い目に遭わせてやろうかって言い始めた。そこへ全然別の声がした。あいつらの背後からね。
「なにくだらねえこと、やってやがる」
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